りまし中に入れても

「はい、こっそり聞きました。なんだか、気になって…」
「それで?何をそんなに心配なんです?私が知っている事ならお答えいたしますが?」
え?と顔を上げてチャン先生を見る

「貴女を狙うかもしれない刺客の事ですか?」
「…それも、もちろんあります。やっぱりあの徳成府院君キチョルなんですか?」

チャン先生は大きく息を吐き、立ったまま乳鐵蛋白から私の前の椅子に腰かけた
「あの二人はかなり口が滑ったようですね…」
「あ、あの!二人を怒らないでね?ただわたし気になって…」
チャン先生は私の方に手をかざし、もう分かりましたと声無く答える。

「まだそうとは本当に決まっておりません。ただ、視察先の役人やら町の様子やらを見ているとどうも、徳成府院君様の息のかかった者達が多く、私兵もかなりの数入り込んでいると言う事です。ただ、この後どう動くつもりかが全く分からないのでこちらの警護を強化せよと書簡が参ったようです。」

「そんなにキチョルの手先が居る所に今、あの人とテマン君とチュモ君だけなんですか?」
そう言うとチャン先生は笑った。
「スリバンがかなりの数こちらも入り込んでおります。ご安心ください。」
それを聞いて私は、ほおっと息を大きく吐く
良かった、とりあえずは少しは大丈夫なんだわと…
その様子を見てチャン先生は言った

「テジャンが心配ですか?医仙。」
「は?心配なんてしてませんけど?ただ、私との約束の事もあるし、何かあったら嫌だなって…」
急にお腹が空いてきて夕餉をパクつき始める。
「素直さもたまには必要ですよ?」
「私はいたって素直です!」

「ただ、危険なのはテジャンよりも今は貴女です。今日から夜の警護を乳鐵蛋白武閣氏のみでなくウダルチ4名も加わります。ちょっと夜通し物々しいですが、事態がはっきりするまで堪えて下さい。」
良いですね、と私に目で聞いてくる。
それに私は頷いて答えた。

「私も視察で出立する日までは自室では無く、診察室の方で休みます。何かあったら大声を。人数だけはおりますので。良いですか?」
「はい、分かりました。」

ウダルチテジャンが居なくなるとこんなに大変なんだと今更ながら思う。
この心細さは一体、なんだろう…

ここまではいつもの朝。
今日の警護のウダルチをプジャンが連れて来てくれた。
たまにあの人が忙しい時にある事だからまぁ、これも日常かな?

今日の担当はトルべ君。

来て扉の前に立ってすぐ武閣氏の娘(こ)に声をかけてなんだか楽しそうね…
あぁ、今日はなんだか患者さんも少なくて、なんてゆったり時間が流れているのかしら…

うぅ~んと両腕を天井まで届くように伸ばして背筋のストレッチをする。
「あぁ、なんかお腹減っちゃ…」
そこまで言ったところで、急にあの人の声が聞こえてきた

『太りますよ?』

は!
いけない、いけない。
そんな初日から食べていたらあの人絶対笑ってどんなお仕置きをされるんだか分からないわ!

その時外にいたトルべ君が部屋の中の私に声をかける
「医仙様今、何かおっしゃいましたか?茶の時乳鐵蛋白間になさるなら用意させますが?」
私の部屋の扉の向こうからそう言って叫ぶ。

「わ、わわわ、大丈夫よ!気にしないで!」
そう言って寝台横の窓から顔を出しトルべ君に直接言った
横にいた武閣氏の娘がトルべ君の後ろで声無く笑っている。

あ~、恥ずかしかった。

いろんな所に私のダイエットを阻止する伏兵がいるもんだわね。
はぁっと小さくため息を吐いた。

そのまま今日は午前中は何とか間食せずに過ごした。
今はもう昼になろうかと言うところ。
あぁ、今日のお昼御飯がこんなに待ち遠しいなんて…
その時私の部屋の前に誰かが来たらしくトルべ君が応対してる

トントンと私の部屋の扉を叩く
「医仙様、昼餉を持ってまいよろしゅうございますか?」



2016年08月08日 Posted byく笑いなが at 12:30 │Comments(0)

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